仏教の宗派を変える手順について

仏教の宗派を変える手順について

私は、仏壇じまいの仕事をしているわけですが、ときどき宗派の変更(改宗かいしゅう)について相談を受けることがあります。

そんな時に参考にしてもらえればと思いまして、書いてみました。

一つの例となりますが、たとえば「日蓮宗から浄土真宗本願寺派へと宗派を変えたい!」という想定で、宗派を変える方法手順やメリットデメリットを紹介します』

「実家の宗派は日蓮宗だけど嫁の実家は浄土真宗だから宗派変えをしたい…」といった悩みは結婚後にはよくあることです。

今回は日蓮宗から浄土真宗本願寺派へと宗派を変える手順やその際のメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。

お坊さん

そもそも宗派を変えることはできるのか?

宗派を変える手順を紹介する前に、そもそもそう簡単に宗派を変えることはできるのでしょうか?宗派を変えた人にとっては、何気にその辺りが少し気になってしまうところですよね。結論を言ってしまうと宗派を変えることに特に問題はなく、誰しもが自分の好きな宗派に属することができます

その理由は、日本では「宗教の自由」や「信仰の自由」という言葉があるくらいなので、長年日蓮宗の檀家であったとしても浄土真宗へと宗派替えを行うことができます。これを “宗旨替しゅうしがえ”と言ったりしますが、現在属している檀家を離れて、そのあとに他の宗派の檀家に入檀することで宗派を変えることになります。

日蓮宗から浄土真宗本願寺派へと宗派を変える方法とは?

では、日蓮宗から浄土真宗本願寺派へと宗派を変える方法を見ていきましょう。

さきほども紹介していますが、日蓮宗から浄土真宗へと宗派を変えるには「檀家」を変える必要があります。

この檀家とは、自分が属している宗派のお寺にお布施を払っている家のことを指し、檀家に入ることで日蓮宗といったそれぞれの宗派に属することができます。

(そして浄土真宗では、檀家に入るとか、信徒になるという考え方は無く、門徒になるという言い方をします。)

そのため、日蓮宗から浄土真宗本願寺派へと宗派を変えるには、まずは現在所属している日蓮宗の檀家を辞めることから始めなければなりません。

これを「離檀りだん」と言い、まずはその手続きを取ることから始める方がいいでしょう。

日蓮宗のお寺に対して離檀する手続きをとる

離檀する方法はさまざまありますが、一般的な方法では以下のような流れを取るようにするとスムーズに手続きを経ることができます。

①実家や親戚に離檀することを伝え確認をとる

日蓮宗から浄土真宗へと宗派を変える場合には、まず実家や親戚などに承諾を得る方がいいでしょう。

宗派を変えた後になってから、その報告を実家などに行ってしまうと、何かとトラブルに繋がってしまう恐れがあります。

そのため、宗派を変えたるために離檀する場合には、そのことを前もって実家や親せきなどに対しては伝えておき、さらにその旨の承諾を得ることでより円滑な宗旨替えを行うようにしましょう。

②菩提寺となっている寺の住職に相談する

実家や親せきなどに宗派を変えることの承諾を得ることができたのであれば、自分の菩提寺(家のお墓があるお寺)となっている寺の住職に対して離檀したいことを相談します。

このときのポイントとしては一方的に離檀したいことだけを伝えるのではなく、離檀することの理由や気持ちなどを住職に対して丁寧に説明します。

いきなり面と向かって話すことが難しいのであれば、手紙などで離檀したいことの思いを伝える方法もいいでしょう。

日本では自由に宗派を変えることができますが、離檀する場合には属しているお寺の住職に対して感謝の気持ちをもって離れていく方が後腐れのない気持ちの良い宗旨替えを行うことができます。

③離檀料を支払う

菩提寺の住職に対して離檀したいことを伝えたのであれば、最後に離檀料を支払うという流れでことで宗旨替えを行うことになります。ですが、離檀する際の離檀料を支払うことは実は義務付けられている訳ではありません。

目安相場としては3万円~15万円といった金額と言われており、支払う必要は無いとは思いますが、今まで長い間お世話になったという気持ちをこめてお渡しすることでスムーズに離檀を進めることができるでしょう。

浄土真宗のお寺に対して入信したい旨を伝える

日蓮宗の離檀を済ませることができたのであれば、新しく違う宗派へと変えることができます。

その際の手続きの流れとしては以下のものが一般的となっています。

①最寄りの浄土真宗のお寺に電話・メールなどで門徒になりたい旨を伝える

浄土真宗に宗派を変えたい場合には、まずは自宅から最寄りの浄土真宗のお寺を探すことから始めましょう。

お寺が見つかったのであれば、電話やメールなどで門徒になりたい旨をお寺の住職や関係者などに伝える必要があります。

あなたの身近なお寺を訪ね、話しの合うお坊さんであればそのお坊さんとお付き合いしていくのがよいでしょう。

②住職との面談後にお寺との檀家契約書を交わす?

お寺と入檀手続きを取り交わす日時が決まれば、お寺に足を運び住職との面談を行うことが一般的ですが、浄土真宗本願寺派ではそういった契約書はありません

(念の為、浄土真宗真宗大谷派にも確認をとりましたが一切必要ないそうです。)

他宗派では一般的に、住職との面談が終われば「檀家契約書」や「信徒カード」といった書面などで入檀手続きを交わすそうです。その際には認印が必要となる場合があります

③入信料を支払う?

他宗派では、入檀する際にも入檀料といったお布施を支払うことが一般的ですが、浄土真宗ではそういった入信に関して支払いをする必要はないそうです。縛られてない気がして気持ちよいですね。

宗派を変えることのメリットとは?

お寺によっては管理費が安くなる場合がある

宗派を変えることのメリットはいくつか考えられますが、費用面でのメリットが得られる場合があります。

檀家はお寺に対して管理費などを支払っていますが、宗派を変えることでお寺を変えることができ、その変えた先のお寺によっては管理費を安く取っているところもあります。

宗派によってはお盆などの繁忙期でも優先的に法要を行ってくれることも

宗派を変えることによって、お盆などの繁忙期の時期でも優先的に法要を行える場合があります。

これもお寺によって違いがありますが、宗派を変えることによって費用面や法要でのメリットを受けられる場合があります。

宗派を変えることのデメリットとは?

離檀料や入檀料といった費用が掛かる

宗派を変えることデメリットには、離檀料や入檀料といった費用が掛かるといったことがまず挙げられます。

特に菩提寺にお墓がある場合には魂抜きや墓じまいといった費用も掛かってしまうので、離檀料と入檀料を合わせるとなると50万円近く費用が発生してしまう場合があります。

「離檀を認めてもらえない!」といったトラブルが起こることも

宗派を変えることで多いものには、実家や親せきとのトラブルに発展しやすいといったことがあります。

実家や親せきなどが檀家として熱心な活動をしていない場合にはそのようなトラブルは起こりにくいものですが、昔から実家などがお寺との結びつきが強い場合には、「離檀を認めてもらえない!」といったトラブルが起こることがあります。

そのため、日蓮宗から浄土真宗へと宗派を変える場合に限らず、既存の宗派を離檀して新たな宗派に入檀する場合には実家や親せきに対して納得のいくきちんとした説明をすることが重要です。

宗派を変え手順やメリットとデメリットのまとめ

日蓮宗から浄土真宗へと宗派を変える手順やメリットとデメリットを紹介していきましたが、日本では宗派を簡単に変えることができます。ただ、宗派を変えることで実家やお寺とのトラブルに発展して今う可能性があるので、事前にしっかりとした根回しを行っておくことがポイントです。

浄土真宗では檀家制度という考え方がありませんので、さまざまなトラブルになることもなくなるでしょう。信教は自由です。今まで○○さんのお寺だったから・・・とか言い出したらキリがありません。お盆や葬儀の時などの必要な時に「私は浄土真宗」という考え方で充分なのでがないでしょうか?

 

 

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