葬儀で出棺時に故人の使用していた茶碗を割るという行為について

葬儀の中で、出棺が行われる際に故人が生前使用していた茶碗を割る、という風習を見聞きしたことがある人は多いです。

しかし初めてそのような場面を目の当たりにした人は、故人との別れに悲しみを感じている中で、何故そのような酷いことをするのだろう、と少なからずショックを受けることもあるでしょう。

このように出棺時に故人の使っていた茶碗をわざわざ割る理由には、亡くなってからこの世に未練を残さずに旅立てるよう、成仏を願う目的があるとされています。

どうして茶碗を割ると亡くなった人が成仏できるの?

と疑問に思う人も多いでしょう。

ここでは、葬儀での出棺時に故人の茶碗を割る理由について、詳しく説明したいと思います。

茶碗を割ることでもうこの世で食事ができないということを伝える

故人が生前に使っていた茶碗を割ってしまうことにより、もうこの世で食事ができないということを伝わることができます。

亡くなってしまった人に対してひどく冷たい仕打ちのように見えますが、この世でまだ食事が取りたいというような未練を残したままでは、あの世に旅立つことができません。

亡くなった人にとっては、いつまでも成仏できないことの方がかわいそうなことなのです。

亡くなった人のことを思うからこそ、あえて茶碗を割るという風習が生まれたということになります。

茶碗を割るという行為は、思いやりや故人を大切におもう気持ちから長く受け継がれてきた伝統的な風習といえるのです。

茶碗はあの世に持っていけないから割ってしまう

葬儀で出棺時に故人の使用していた茶碗を割るという行為には、実は他にも理由があると考えられています。

葬儀では、故人の使っていた茶碗にご飯をやまもりにし、箸を立てる「一膳飯」というものが供えられます。

通常の食事のマナーでご飯に箸を立てて指すことが厳禁とされていることは、ほとんどの人が常識としておぼえているはずです。

これは葬儀の際に供えられる一膳飯をイメージさせることが理由だからです。

一膳飯は、亡くなった人があの世への長い道のりでお腹が空くから、途中で食事を取ることができるようにという考えで用意されます。

仏教では、出棺時にその一膳飯を棺の中に入れることになります。

しかし、茶碗は割れものですし、あの世に持っていくには荷物になり、手入れすることもできません。

そのため、茶碗だけは割って処分してしまおうという考えも由来となっています。

宗派によっては出棺時に茶碗を割らないこともある

同じ仏教でも、亡くなるとすぐに極楽浄土に行けるという教えのある浄土真宗では、出棺時に故人の生前使用していた茶碗を割るということはありません。

浄土真宗を信仰している人たちの間では、即身成仏の考え方が浸透しているため、わざわざ故人のこの世への未練を断ち切るような行為をする必要もなければ、一膳飯を用意して棺に入れる必要がないからです。

信仰する宗派や住んでいる地域によっては、このような茶碗を割るという風習はありません。

そのため、違う地域の葬儀で初めて故人の茶碗が割られるのを見て驚く人もいるでしょう。

近年は葬儀も形式にとらわれずこの風習は消えつつある

葬儀の出棺時に故人の茶碗を割るという風習はわりとよく知られてはいましたが、最近ではこの風習自体が次第に薄れつつあります。

というのも、葬儀自体が昔のように自宅で形式に従って行われるケースが少なくなり、会館を借りて行われたり、家族葬で済ませるというケースが増えています。

故人が残された人たちの負担を減らすために、生前から簡素な葬儀を希望する場合もあります。

このようにして、葬儀の形式は現代のライフスタイルに合わせて変化しつつあり、必ずしも昔からの慣わしに従うべきという考え方をする人ばかりではなくなってきています。

もちろん、たとえ会館などで葬儀を行う場合でも、家族が強く希望すれば昔ながらのやり方で進めることは可能な場合が多いです。

ただ、今では都市部では葬儀で茶碗を割るという行為をする人はあまり見かけなくなってきているのも事実です。

まとめ

このように、葬儀で出棺が行われるタイミングで、故人が使っていた茶碗を割るという行為にはちゃんとした理由があるということがおわかりいただけたかと思います。

故人がこの世に未練を残さずに成仏できるようにという目的や、茶碗をあの世に持っていくことはできないからという事情も背景にあるのです。

いずれにしても、一見ひどいと思われるこの行為は、故人に対する思いやりや優しさが根底にあるのが事実です。

現代では、葬儀の際に故人の茶碗を割るという風習は見かけなくなってきてはいますが、もし見かけることがあった時には、このような大きな理由があるのだということを思い出し、あたたかい目で見守りましょう。

茶碗を割るという行為をきっかけにして、残された人たちも悲しむ気持ちにひとつの区切りをつけることができるのではないでしょうか。

 

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