仏壇の普段のお手入れの方法について

実家や自宅の仏壇のお手入れをどのように行ったら良いのか?

仏壇のお手入れは毎日しないといけないものだと思う人もいますが、実はそこまで神経質に毎日行う必要はありません。また、仏壇のお手入れそのものは複雑ではありませんが、お手入れの際の注意点も知っておいて損はありません。今回は仏壇の普段のお手入れの仕方と、重要なポイントについて解説してみたいと思います。

仏壇の普段のお手入れはいつするべき

仏壇のお手入れは大変!!とイメージを持たれるかもしれませんが、普段から大がかりなお手入れをする必要はありません。

念入りに時間をかけて隅々まで掃除をするのは、お正月・お盆・春と秋の彼岸の前で十分でしょう。

普段は、毎日の家の中の他のところと同じように簡単に掃除をしておけば問題はありません。

ただし、普段の仏壇のお手入れで気をつけたい点としては、なるべく雨降りの日は避けて天気の良い日に行うことが挙げられます。

なぜなら、拭き掃除をした際になんらかの水分が残ってしまうと、湿気が多い状況ではカビが生える原因になるからです。

毎日何があっても仏壇の掃除をしなければという気持ちは素晴らしいですが、注意をしなければかえって仏壇が傷んでしまう原因になります。

(もちろん、天候の悪い日は絶対に仏壇のお手入れをしてはいけない、というわけではありません。)

湿気が心配な日はホコリを払ったり乾拭きで済ませておく、またはエアコンをきかせて部屋を乾燥した状態に保つなどの対策が有効です。

普段のお手入れに必要なもの

普段のお手入れには、拭き掃除用のタオルやホコリ用のはたきなど、自宅にあるものを使うこともできます。

もし、仏壇は特別なものだから専用の道具でお手入れをしたい、と考えるなら以下のような道具を用意すると良いでしょう。

  • 毛ばたき
  • クロス
  • 金属磨き粉
  • ツヤ出し剤
  • 拭き取り紙

順番にみていきましょう。

毛ばたき

一般的な家庭にある毛ばたきの他に、細部のお手入れに最適なブラシ状の毛ばたきがあると便利です。
仏壇や仏具の細部にたまりやすいホコリを綺麗に取り除くことができます。

クロス

やわらかく仏壇の乾拭きに適した専用のクロスがあります。
仏壇のお手入れには、使い回しのタオルや雑巾を使うのは抵抗がある、という場合は仏壇専用のクロスを用意しておくと気持ちよくお手入れできるでしょう。

金属磨き粉

真鍮でできた仏具専用の磨き粉です。
メッキやセラミック製の仏具には使用できません。

ツヤ出し剤

唐木でできた仏壇のお手入れで、ホコリを取り除いた後に仕上げで使います。
ツヤ出し剤を使うと仏壇の色の鮮やかさも蘇ります。

拭き取り紙

金属磨き粉やツヤ出し剤を使った後、余分に残った分を綺麗に拭き取る際に使います。

基本のお手入れの手順

普段のお手入れはそこまで複雑ではないものの、仏壇や仏具はデリケートなものなので正しい流れを理解して適切な手順で行う必要があります。

仏壇の材質には、大きくわけて「金箔や漆塗りで仕上げられた金仏壇」と「唐木・家具調の仏壇」があります。

それぞれのタイプの仏壇に応じたお手入れの手順を説明します。

金仏壇のお手入れ

1.御本尊・脇仏・位牌などのホコリを、ブラシ状の専門のはたきを使って取り除きます。

細部までしっかりホコリをはらおうとすると力が入って倒してしまったり、破損の原因にもなるのでほどほどのところまでにしておきましょう。

2.はたきで仏壇の漆塗りの部分のホコリを落とし、クロスで拭き掃除をします。

3.ツヤ出し剤をクロスに付けて、全体に伸ばして拭き取ります。

ツヤ出し剤はつけすぎないように注意しましょう。

4.ブラシ状のはたきを使って、欄間など入り組んだ部分も綺麗にします。

※注意点

金箔の部分に直接手で触ると脂や指紋の跡がついてしまうため、はたきのみでお手入れをしましょう。
また、クロスでのお手入れも金箔を傷つけてしまうので、拭き掃除は漆塗りの部分のみにします。

唐木・家具調仏壇のお手入れ

1.全体のホコリを、はたきで優しく払い落とします。

2.クロスで全体の乾拭きをします。

3.ツヤ出し剤で仕上げます。

4.細かい部分がホコリがたまりやすいので、小型のブラシ状のはたきで掃除をします。

 

仏具のお手入れはどうする?

仏具のお手入れも大切です。仏具は種類によって材質も異なり、お手入れの仕方にも注意が必要です。

漆塗りで仕上げられた仏具は、硬い布で拭くと傷つきやすいので、柔らかめの布で優しく乾拭きをします。

金属製の仏具の場合は、金属磨き粉やツヤ出し剤を使って磨くことでツヤを取り戻すことができます。

※注意点

ただし、メッキやセラミックなどは金属磨き粉やツヤ出し剤の使用は不可です。
コーティングがはがれないように、やわらかい布で優しくお手入れします。

燭台には溶け落ちた蝋燭の蝋がたまりやすいですが、無理矢理取り除こうとすると傷つけてしまいます。
専用の除去液を使用することをおすすめします。

香炉の灰もそのままでいいと思われがちですが、燃えかすが溜まると汚れてしまいます。
専用のふるいを使うことで、また綺麗な状態に戻ります。
表面は灰ならしを使って整えておきましょう。

仏壇のお手入れをする際の注意点

仏壇のお手入れをする際には、特に気をつけなければならない点がいくつかあります。大切な仏壇を傷つけてしまうことのないように前もって確認しておきましょう。

水拭きは厳禁

金仏壇・唐木仏壇どちらにしても、仏壇のお手入れをする時には濡れた雑巾を使うのは禁物です。濡れた雑巾で拭き取ると金箔が剥がれ落ちたり、漆塗りの部分に跡が残ってしまうことがあります。唐木でできた仏壇の場合は、水拭きをすると木に水分が吸収されやすく、カビの原因となるので避けましょう。

洗剤・アルコールスプレーも使用不可

汚れを綺麗に落とそうと洗剤やアルコールスプレーを使用してしまうことがあるかもしれませんが、これらもデリケートな仏壇・仏具には適していません。

特別なお手入れをしたい場合には、仏壇・仏具に使える専用の磨き粉やツヤ出し剤を使いましょう。ただし、専用のものであっても、材質によっては使えないものもあるのでよく確認しましょう。

掃除・お手入れをする時は安全な状態で行う

仏壇のサイズが大きかったり、高い位置にある場合は手が届かないこともあります。踏み台などに上がって作業をする際には、しっかり安定性を確認して行うことが重要です。

不安定な状態のままお手入れをしようとすると、転倒して自分が思わぬ怪我をすることがあり、仏壇や仏具の破損にもつながります。

まとめ

仏壇の普段のお手入れは必ずしも毎日する必要はなく、実際には日常生活の中で気がついた時、少し汚れが気になった時に行うくらいでも十分です。

ただし、仏壇というのはとてもデリケート材質でできているものなので、お手入れの際にはここで説明した流れや注意点をよく頭に入れて丁寧に慎重に扱う必要があります。

仏壇のお手入れを普段する際に重要なことは、専門的な知識ももちろんですが、ご先祖様を大切に思う気持ちでもあります。

ご先祖様への敬意や、ご先祖さまのいる場所を綺麗に保ちたいという気持ちが、結果的に仏壇を大切に思うことや、自然と丁寧にお手入れをすることにもつながるのかもしれませんね。