宗派の違いは?実家がお付き合いしているお寺の宗派とは?(浄土宗編)

宗派の違いは?実家がお付き合いしているお寺の宗派とは?(浄土宗編)

浄土宗(じょうどしゅう)は大乗仏教の宗派の1つです。総本山は京都市にある知恩院で、浄土宗の開祖が半生を過ごした場所です。知恩院や京都を中心に、日本全国に寺院が広がっています。浄土専念宗と呼ばれることもあります。

浄土宗の特徴は、どこにいても何をしていても南無阿弥陀仏と唱えることが重要と説くことです。南無阿弥陀仏と唱えることで心身が清らかになり、亡くなったあとに救済を受けて極楽浄土で仏になれるとします。

開祖の死後は教義への解釈の違いなどで浄土宗は分裂を続けていましたが、やがて弟子の1人である弁長が始めた鎮西派が主流になりました。鎮西派は念仏を唱えることと善行を行うことの2つが重要であるとする、二類各生説が特徴です。

浄土宗の開祖と歴史は?

浄土宗の開祖は法然です。1133年に生まれ、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍しました。初期は比叡山で天台宗の教理を学んでいましたが、後に独自の専修念仏を教えを説くようになりました。

1175年、法然は専修念仏の道に進むために比叡山を下山し、当時の東山吉水の地にあった吉水草庵に居住するようになりました。この年に念仏の教えを広め始めたことから、1175年が立教開宗の年とされました。

法然の専修念仏は阿弥陀仏による救済を説くものです。どんな時も南無阿弥陀と唱えていれば、亡くなったときに阿弥陀仏の救いによって極楽浄土に往生できるとします。

当時の仏教の主流は自分の心や行いによって仏になれるかが決まるとするもので、主に貴族によって支持されていました。法然の斬新な教えは既存の流派から批判の対象になることもありましたが、仏教が民衆に浸透する大きな原動力になりました。

浄土宗のお経はどんな意味?

・総回向偈(そうえこうげ)

総回向偈とは、浄土宗の重要な教義であるお念仏による効能を、多くの人々に対して届けるためのお経です。お念仏の功徳を自分だけでなく他の人にも施すことで、一緒に極楽を目指そうという意志を表しています。

総回向偈の内容の特徴は、現世で悟りを得ようとするのではなく、極楽浄土に往生してから悟りを得ようとする点にあります。平凡な人間は欲望などの煩悩を断つことは難しいため、まずはお念仏に集中しようという謙虚さが現れています。

・四誓偈(しせいげ)

四誓偈とは、仏説無量寿経という長いお経の中に説かれている4つの誓いを表したものです。修行中の身であった阿弥陀仏が、人々を救済するために師匠に48の願いを伝えた後、自分が守るべき誓いを述べたという内容です。

4つの誓いの内容は、48の願いを達成して悟りを開くこと、困っている人を救済すること、全てのものを救うこと、自分の知恵が人々の役に立つことです。達成できなければ仏にはならない、という強い決意が込められています。

浄土宗の本尊と脇侍は?

宗派の信仰の対象として最も尊重される本尊(ほんぞん)と、本尊の左右に祀られる脇侍(きょうじ)をご紹介します。

浄土宗の本尊は阿弥陀如来(阿弥陀仏)です。阿弥陀如来を本尊とする宗派は少なくありませんが、宗派ごとに光背の形が変化するのが特徴です。

浄土宗における阿弥陀如来の光背は、船のような形状をしています。これは舟立阿弥陀や舟立弥陀と呼ばれるもので、浄土宗における正式な本尊ですが、坐像や掛軸を用いる場合もあります。

仏像

お寺の本堂などで、中央の本尊と並んで左右に祀られているものを脇侍と言います。浄土宗の脇侍は向かって右側が観音菩薩で、左側が勢至菩薩です。

どちらもが阿弥陀如来の化身であり、観音菩薩は仏の慈悲、勢至菩薩は人を導く叡智を表しています。中央の阿弥陀如来と合わさることで、阿弥陀三尊と呼ばれます。

浄土宗の数珠と合掌の特徴は?

浄土宗には日常的に使う数珠として日課数珠があります。二連になっているのが特徴で、日々の念仏を唱えながら信仰心を高めるために使います。

日課数珠の持ち方は、親指と人差指の間に数珠を掛けてから、親指の後方に垂らしてバランスを整えます。合掌をしていない時は左手の手首に掛けておきます。浄土宗では数珠を鳴らしたり振り回したりしないのが基本です。

また、浄土宗の数珠は男性用と女性用に分かれていて、それぞれ三万浄土、六万浄土とも呼ばれます。これは男性は3万2400回、女性は6万4800回の念仏を唱えるという教えに基づく名称です。

浄土宗の合掌は、右手と左手の十指をきちんと揃えてかたく合わせるのが特徴です。これは堅実心合掌(けんじつしんがっしょう)と呼ばれる合掌の方法で、内側のしっかりとした心が外にも現れることを象徴しています。

浄土宗の葬儀の特徴は?

浄土宗の葬儀はいくつかの特色があります。まずは念仏一会(ねんぶついちえ)です。葬儀の参列者が一緒になって念仏を一定時間唱えるもので、故人が阿弥陀仏の救済を受けられるように手助けをする役割があります。

浄土宗の葬儀の次の特徴は、僧侶が2本の線香(または松明)を使って行う下炬引導(あこいんどう)という儀式です。2本用意した線香のうち、1本はすぐに捨ててしまいます。

残った1本を使って虚空に円を描きつつ、下炬の偈(あこのげ)というお経を唱えた後、その1本も捨てるのが基本的な動作です。これは現世のしがらみと決別して仏門に入ることを意味する儀式で、極楽に行くための引導でもあります。

また、浄土宗の葬儀は序分、正宗分、流通分の3段階に分かれているのが特徴です。序分は仏を迎え入れること、正宗分は故人が極楽に行くのを願うこと、流通分は仏に感謝して送り出すことを意味します。

浄土宗の焼香の方法は?

浄土宗は焼香の回数に厳密な決まりがないのが特徴です。寺院や地域によって異なる場合がありますが、3回の焼香を基本とするのが一般的です。

焼香の手順としては、まず香炉の前に立って姿勢を正します。合掌と一礼を終えたら、親指、人差し指、中指の3本を使ってお香を軽くつまみます。その後、お香を額に押しいただいてから灰の中に入れ、最後に合掌一礼をして終了です。

浄土宗では線香の本数については厳密な決まりはありません。1本または2本を半分に折ってから立てることもあります。火を消すには息を吹きかけずに左手であおぎます。

浄土宗の線香の本数は場合によりますが、主に1〜3本です。お念仏の際に1本を立てる、日常のお勤めに2本を立てる、仏・法・僧の三宝に感謝の気持ちを表すために3本を立てるのが一般的な傾向です。

浄土宗のまとめ

浄土宗は平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した、法然を開祖とする大乗仏教の宗派です。それまでは貴族などの権力者と密着していた仏教の主流とは異なり、民衆にも分かりやすい教えを説いたことで支持を得ました。

浄土宗の教えの中心は専修念仏です。自分の心の持ちようや行いの結果ではなく、阿弥陀仏の力という自分の外側の要素によって救済が約束されるという他力がポイントになります。

 

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