お寺との檀家関係をやめる場合に生じる費用は?檀家関係から離れる方法
一部宗派に存在する檀那寺と檀家の関係。実家が檀家に入っていて、檀家を離れたいという理由で悩んでいる人がたくさんいます。
檀家をやめる場合に発生する費用というのはいったいどれくらいかかるのでしょうか?檀家として継続していくメリットもありますが、檀家を離れた場合のメリット・デメリットなども含め、あなた自身が檀家としてお寺と付き合いを続けていく必要があるのかを改めて考えてみてはいかがでしょうか?
今回は「お寺との檀家関係をやめる場合に生じる費用は?檀家関係から離れる方法」について解説してみたいと思います。
檀家とは
檀家とは古くから日本で慣習的に存在する制度で、特定のお寺(檀那寺と言います)に所属しサポーターとして維持費や寄付金を納めることで、身内に不幸があった際の葬祭やその後の供養などを全て任せられる仕組みのことをいいます。
檀那寺とは
檀家が所属するお寺ののことを呼びます。菩提寺(ぼだいじ)とも言います。
この檀那寺と檀家の関係は様々な宗派で存在しますが、一般的には浄土真宗以外の宗派で用いられている仕組みとなります。浄土真宗では類似した意味として檀家のことを門徒と表現しています。
檀家制度はいつからできた?
実はこの檀家制度が誕生したのは時をさかのぼること約400年、江戸時代になります。
その当時の江戸幕府は、
- 日本人は必ず仏教のいずれかの宗派に属さないといけない
- 先祖代々の宗派を変えてはいけない
というルールを定めていたわけです。
現在はこのような法律はなく、宗派のみならず宗教や信仰の自由が認められていますが、当時はキリスト教が日本に蔓延していたこともあり、キリシタンが増えることを恐れての策でした。
皆さんも社会の教科書で一度は「踏絵」の写真をみたことがあるでしょうが、それだけ宗教・信仰の影響力が強かったということです。
檀家を離れたいという人が多くなった理由
時代が移り変わり、現代は先祖代々の宗派を守り通さなければいけないということはありません。
そんな中、檀家離れが進む理由としては下記のようなものが挙げられます。
- 関係が疎遠になって法要を頼みづらい
- 関係がわずらわしい
- 昔からの習慣に違和感を感じる
- お坊さんへの不信感
順番にみていきます。
関係が疎遠になって法要を頼みづらい
檀那寺との関係が徐々に疎遠になり、いざ法要を頼む時も頼みづらくなってしまっています。
関係がわずらわしい
維持費や寄付金を払っているのに、更にお寺の掃除や組合に参加しなければいけないなど制約が多いことから。面倒に感じてしまいます。
昔からの慣習に違和感を感じる
昔から檀家だからという理由で檀家を続けることに疑問を持ってしまいます。
お坊さんへの不信感
一部の心ないお坊さんが高額なお布施を貰って夜の街に繰り出すという行為をしたり、檀家側の負担が精神的にも経済的にも大きすぎるのではないかと感じていまいます。
檀家を離れるメリット・デメリット
檀家を離れることにはメリットもあればデメリットもあります。
メリット
維持費を納めなくてよい
一般的に年間で数千円~2万円ほどといわれているお寺を修繕・維持するための費用がなくなれば経済的にはかなり余裕が生まれるでしょう。
格式が高いお寺では10万円近くかかるところもあるため、決して無視できる金額ではありません。
寄付金を納めなくてよい
場合によっては100万円近くのお布施を払うなど大きな負担を強いられることがあります。檀家にしてみれば葬儀でも費用をとられ、普段も費用をとられるのであれば一方的に負担を強いられているような気になるのは当然といえます。
デメリット
供養のサポートを受けられない
檀家であることのメリットとしては、いざ法要が必要になるなどお寺のサポートが欲しいタイミングで支援をしてもらえることですが、檀家から離れてしまえばそのような支援は受けられなくなります。
お墓の引っ越しに費用がかかる
詳しくは後述しますが、檀家から離れる際にはお墓を移す必要があります。
今の墓地から新しい墓地へと移行するとなれば一般的に100~200万円ほどの費用が発生することも考えられます。
一時的に発生する費用を考えるとなかなか難しい問題になってしまいますね。。。
檀家を離れる際の不安
いざ檀家を離れるとなると下記のような不安がつきまとうことになるかもしれません。
- 引き止めにあうのではないか?
- 離檀する時に費用が発生するのでは?
- 墓だけ残せるのか?
- 法要が必要になったらどうしよう?
結論は正しい知識をもって交渉すれば無理なく離檀できます。離檀を決意したら具体的にどのようなステップで交渉を進めていけばよいのか説明します。
檀家を離れる方法
檀家を離れる際にはいくつかの細かいステップを踏む必要がありますが、丁寧に進めていけば問題ありません。
離檀の手順
親族と話し合っておく
意外な落とし穴は菩提寺よりも親族だったりします。あなたの家は離檀したいけど、別の家ではそのままお墓を残して欲しかったなど親族内でのいざこざに発展するケースがありますので、まずは身内から話を通しておく必要があるでしょう。
なぜ檀家を離れなければいけないのか理由を伝える
親族内での話し合いが済んだらいよいよ住職に話を切り出すことになります。
回りくどくすると余計に言いづらくなるので、離檀したいという結論をハッキリ伝えましょう。ただし、離檀したい理由をしっかりと伝えることが大切です。
おすすめな離檀の理由
- お墓を継承する人がいない
- お墓の継承者が遠くに住んでおり管理が難しい
- お墓の面倒を見る余裕がなくなった
- 嫁ぎ先の宗派に改宗する必要がある
おすすめしない離檀の理由
- 宗派を変えたい
- 宗教を変えたい
- 無宗教にしたい
お寺は檀家からのお布施によって生計を立てています。逆の立場になれば「宗派を変えたい」「宗教を変えたい」「無宗教にしたい」と言われたら、引き止めたくなってしまいます。
ポイントはやむを得ない理由を伝えることです。相手も同じ人間ですからどうしようもない理由を言われたら言い返しようがありませんよね。
お墓は引っ越しが必要
お墓はあくまでも檀那寺の敷地内に置かせてもらっている立場ですので、離檀するとなれば引っ越しが必要になります。
引っ越しにあたっては次の埋葬方法をどうするかによっても手順が変わりますが、一般的な墓地から墓地への移動の際には下記のような流れで進行していきます。
お墓の引っ越し手順
現在の墓地から埋葬証明書をもらう
↓
市町村が発行する改葬許可証をもらう
↓
新しい埋葬先から受入証明書をもらう
↓
専門業者にお墓の撤去を依頼する
↓
魂抜き・撤去・移動・魂入れ
費用はどのくらいかかるのか
お墓の引っ越しが必要になると気になるのが費用面です。最も一般的な墓地から墓地へという移行手法をとった場合に大方100~200万円くらいというのが目安の金額になるでしょう。
より細かく何にどのくらいの費用が発生するのかをまとめました。
○離檀費
菩提寺から離檀する際に最後のお布施としてお渡しします。一般的には10~20万円ほどといわれています。
ただし、厳密には支払いの義務はありません!いってしまえばお寺に対する感謝料と捉えられるでしょう。
○墓地撤去費
1平方メートルあたり10万円~15万円が相場とされています。
東日本の墓地の平均的な広さは約1.6平方メートルといわれるため、16万円~24万円が相場です。
西日本の墓地の平均的な広さは約2平方メートルといわれるため、20万円~30万円が相場です。
○魂抜き
お墓の撤去時に必ず必要な魂抜きはお寺によってマチマチですが、一般的には1万円~5万円といわれています。
○新しい墓地
どのように埋葬するかによって金額が大きく異なります。
・墓地・霊園に新たにお墓を建てる
100万円~150万円
・納骨堂
一人用なら約50万円、家族向けであれば約100万円
・樹木葬
10万円~80万円
・散骨
海洋散骨は約20万円
・合祀供養
お寺や霊園にお願いする形で 10万円~20万
・手元供養
遺骨を自宅で所持する形で 2万円~3万円
もし菩提寺が引き止めてきたら
懸念点として菩提寺に引き止められたり、巨額の離檀費を請求されるというケースも実際にあるでしょう。
そんな時は下記の順番で相談しましょう。
弁護士はあくまでも最終手段です。
- 本山に相談
- 役所に相談
- 弁護士
まとめ
今回は「お寺との檀家関係をやめる場合に生じる費用は?檀家関係から離れる方法」について解説しました。昔から継続してきた事ですし、非常に悩ましい問題だとは思います。
特に問題となりそうなのがお墓の問題です。これを機会に個別のお墓ではなく、合祀供養として別のお寺にお願いするのが私は一番良い方法だと考えますが、こればかりは人それぞれ価値観が違いますから正解はひとつではありません。
繰り返しになってしまいますが、檀家の意味や必要性について考えるときは、自分一人で解決しようとせず、親戚や家族としっかり相談の上、進めていきましょう。
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